メッセージ
心の底から素直になって、ありのままの自分になること。
私は、小学校のときに両親が離婚し、母1人と妹弟3人と暮らしていました。小さいころから新聞配達をしたり、妹や弟の面倒を見たりする、がんばり屋の良い子で育ちました。長女としての性でしょうか、いつも「失敗してはダメだ。とにかく結果を出さないと認めてもらえない」と思っていました。
親の期待通り大学に通い、公認会計士の勉強をしていたとき、中谷彰宏さんの本に出会いました。「イヤイヤ勉強しているのは、勉強していない人以下です。さっさとやめましょう」とその本には書いてありました。まさに私のことでした。衝撃でした。それから上京し、「給料いらないから働かせてください」と出版社に入り、中谷さんの本の編集を担当させてもらいました。2年たって独立し、今の会社「私には夢がある」を作りました。
会社設立してから8年間で、講演会を200回ほど開催しました。たくさんの方のお話を聞き、私自身の価値観に、とても前向きで深い考え方を吸収させていただきました。自身でも本を出版したりと、端から見ると結果を出して、どんどん行動して、順風満帆に見えたようです。
でも、その背景で、私は、生きているのが、辛かった。「死にたい」とさえ思っていました。「あと3年だけがんばろう」と、いつも折れそうな心をふるい立たせて生きていました。何か行動して、結果を出していかないと、誰からも愛されないと思っていたから、ぎりぎりいっぱいの背水の陣で、がんばっていたように思います。行動力があるといわれます。確かにあるかもしれません。でもその実態は、「止まるのが怖かった」だけです。
そんなとき、ある人に出会い、私の人生が変化しはじめます。「本当の自分と向き合え。本音を語れ。親に愛されなかったと思ってるから、その満たされなかった気持ちを埋める代償行為として、他の人に認めてもらおうとするんだ。親と本気でぶつかっていけ」
この話を聞いて、私は心の底の一番認めたくなかった、隠し持っていた「さみしさ」と向き合う決心がつきました。「生きよう」と決心しました。私はそれまで、大切にされたかった。そして、愛されたかった。だから、がんばっていたんだと気づきました。自信があると思っていたけれど、自信がなかった。そのマイナスを埋めるために、自分は特別なんだという強いプラスを持つことで、ゼロにしようとしていたんだなと思います。知識や論理といういろんな鎧を着て、自分を守っていたように思います。人から見える、自分でも意識できる、木の上の葉っぱや枝ばかりのばして、自分の根っこをちゃんと伸ばしていなかった。自分という人間が、どんな人なのかを、自分でもわかっていなかった。わかってるつもりでいて、実は、見たくないところは封印して逃げていたのです。
自分を見つめていくと、見たくなかった自分にいろいろ出会いました。へこみました。今まで生きていたことが、なんと逃避行動が多かったことかと、本当に意気消沈しました。情けない、弱いヤツだなと思いました。そうやって自分の底にたどりついたとき、少しだけ光が見えてきました。「そんな弱い自分を、なんやかんやとふるい立たせてまで、私は生きたかった、愛されようと必死で生きていたんだ」と思ったら、自分がかわいく思えてきました。そして、生きている人、動物、自然みんな、いとおしく思えてきました。
自分の心のクセは、ゆがみではなく、個性だ。そう思えたとき、自分という人間をまるまる、受け入れられるような気がします。私はまだ、完全に受容できているかはわかりません。日々、自分と向き合い、対話しながら、そうなれるように向かっているところです。
心の底から素直になって、ありのまんまの自分になること。それが、私の目標です。何を成すか、じゃない。どうあるか、が私には大切です。その上で、自分ができることを、やっていこうと思っています。
自分を本当の意味で動かせるのは、自分しかいないと思うんです。よりよく生きたければ、そんな自分という人間を育てるしかない。深く見つめ、自分に降り立ち、弱さも醜さもひっくるめて、自分をまるまる受け入れること。そのためには、自分の声をちゃんと聴くこと、素直になることが大事だと思っています。
講演では、そんなことを土台にしながら、人の話の聴き方、コミュニケーション、起業、子育てなどについて、お話できたらと思います。ありのままの自分という土台の上で、夢も行動力も、人間関係も、すべてがあるからです。その土台の上に降り立ってこそのテクニックであり、技術であり、考え方がより生きてくるのだと思っています。(和田清華)
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